大判例

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富山地方裁判所 昭和27年(行)4号 判決

原告 酒井義雄

被告 宮川村教育委員会委員長

一、主  文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は、被告村長が宮川村教育委員会に対して為した議案の提出及び教育長の選任並びに被告教育委員長が之ら被告村長の行為を承認したことを取消す、訴訟費用は被告等の負担とする旨の判決を求め、其の請求原因として、原告は宮川村教育委員会委員なるところ、被告村長は昭和二十七年十月二十八日左記の如く宮川村教育委員会々議を招集した。

開催日時 昭和二十七年十一月一日午後二時

開催場所 宮川村小学校会議室

議事日程

一、委員長、副委員長選挙

一、議案第一号 宮川村教育委員会々議規則制定の件

一、議案第二号 宮川村教育委員会傍聴人規則制定の件

一、議案第三号 宮川村教育委員会公告式規則制定の件

同年十一月一日原告を含む委員定員五名定時に集合し、ここに第一回宮川村教育委員会々議が開催されたので、同委員会は先ず委員長選挙を行つた結果、被告土肥恵治が之に当選し、被告村長から右委員会の教育長に同村教育関係の部課の長たる助役高田直義を選任する旨の宣告があつた後、右土肥が議長として、先に被告村長から提出せられた前記議案三件を会議に附した。而してこの議案は同日議決には至らなかつたが、被告村長は右教育委員会に対し何らの権限をも有していないのであるから、同人がなした教育長選任並びに議案提出行為はいずれも違法であり、従つて被告委員長が之らを却下すべきであるのに却下せずして承認した行為も亦違法というべく、原告は之ら違法行為により教育委員として右会議における議決権の行使を侵害されたのでその取消を求めるため本訴に及んだと述べた(立証省略)。

被告両名訴訟代理人は、本案前の抗弁として、原告の請求を却下する旨の判決を求め、その理由として、行政庁の処分の取消又は変更を求める事の出来るのは被処分者に限るのであるから、原告はこの点に於て当事者たる適格を有せず、又被告教育委員長は行政庁でないから同人に対する訴は違法である(右代理人呈出にかかわる答弁書に被告宮川村教育委員会とある記載は右の如く教育委員長の誤記と認める)と述べ、本案の答弁として、原告の請求は之を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする旨の判決を求め、原告主張の事実中、被告村長が昭和二十七年十一月一日原告主張のような教育委員会会議を招集し、同日原告を含む同会議にその主張の如き議案を提出した事、訴外宮川村助役高田直義が同村の教育関係の部課の長であつた事は認める。然し乍ら右議案は既に撤回されており、又右高田が教育長となつたのは教育委員会法第七十七条、同第八十八条の規定によつて任用されたものである、と述べた(立証省略)。

三、理  由

原告の本訴請求原因は、原告が宮川村教育委員会の委員長としての立場において、右委員会の権限に属する事項に付被告村長のなした越権行為を争うもののようであるが、本件は右教育委員会と村長との争ではないから所謂機関争議を本体とするわけでもなく(機関争議の場合には特別規定がなければ出訴出来ない)原告主張の教育委員会に対する本件議案提出行為はそれ自体国民は勿論、委員会の権利義務に何ら効果を及ぼすものではないから、之を行政事件訴訟特例法に所謂行政処分となすに由なく、又宮川村助役高田直義が同村教育委員会教育長になつたのは教育委員会法第八十八条、第七十七条の規定によつて直接教育長に任用されたと看做された結果であつて、被告村長が同委員会々議において、右高田を教育長に選任する旨宣告したとしても、それは右の如く法律上任用された結果の単なる報告にすぎず行政処分でない事明かである。いずれにしても之が取消を裁判所に訴求する事のできる性質のものではない。

従つて斯る事項に付被告教育委員会委員長が承認したりとするも、之亦固より出訴事項に属するものではない。

以上のとおり原告の本訴請求は、いずれも不適法であるから之を却下する事とし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十五条本文を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺門偉男 松田数馬 新田圭一)

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